それからえんぴつ

私を好きじゃない あなたの心なんて

求めること自体が間違っていた。
私に足りないのはあなたじゃない。
妥協。

はじめは、一緒に居られるだけで幸せでした。
でも今は、それだけでは到底足りません。
私は上を求め続ける。

でも、きっと。
恋人同士になったって。
それだけじゃ、足りなくなる。

それでも、今だけでも、満足したいから。
私は告白と呼ばれることをしているのだろう。

「好き、なの」

「そう。だから?」

告白されなれているあなたは、動揺もせず、淡白に返してくる。
目を合わせてもくれないの?

「あなたは、私のこと、どう思っているの?」

「別に、フツー」

フツー、それじゃ、足りない。

「それ以上には、なれないのかな?」

「さあ」

きっと、なれないんだろう。
それは、私をざっくりと傷つける。
けれど、私はあなたの心を変える術を知らないから。

ただ、涙を流すことしか、出来なくて。
優しく成りすましたあなたは、私を気遣う。
偽りの優しさなんかいらない。

「別に、嫌いって言っているわけじゃない。ただ、でも、なんだろな。特別好きっていう感情は、今は、無いんだ」

私にとって、あなたの好きでは無いという言葉は、嫌いという言葉と、同等。

好きって言って欲しかった。
それ以上でも以下でもなく、あなたの口から、私のことを好きだと言う言葉が聞きたかった。

でも、それが望めないというのなら。
せめて、あなたの心に、私という存在を留めてください。

私はあなたを好き。
けれど
あなたは私を好きではない。

それを、私は変えることが出来ない。
それなら、消し去るのみ。

私を好きじゃないあなたの心なんて、必要ない。

全部全部、消し去って。
私だけを、残してやる。

あなたのそばにいることが許されないというのなら
あなたを思うことが許されないというのなら
あなたに思いを伝えることが許されないというのなら
 せめて 私を あなたの心に 留めてください
どんな形でもいい 私を あなたの心に―――

2007年1月26日 野津希美

あとがき

眠いときにがーッと書いたからなあ。