それからえんぴつ

レッテル

 それから半年と四半年が過ぎ、進級。クラスは違った。それなのに。

「明知!」

「あ。クラス、違ったな」

 げらげらと笑う。

「だね。ってかさ…」

 制服、すごく似合うじゃん。

「ん?」

「なんでもない」

 明知は、私がいとうていたものを何でもないかのように扱った。ウワサなんか気にしなかった。レッテルで判断されても無視をした。明知は勉強もできたから、だんだんと評価されるようになっていったようだ。
 ああ、同じクラスになれなかったのが、悔しくてたまらないよ。

「シューへー! 帰ろーぜー!」

 通学路、友達らしき男子と並んで歩く明知をみかけて、思わず目を細めた。

「おうっ!」

2007年7月15日 野津希美

あとがき

 明知くんにはモデルが居まして。“悪い子”扱いされてる奴がいて、こわがってたんです。でも話す機会があり、印象ががらりと変わりました。ちょっと口は悪いし、乱暴だけど、すごく良い奴だったんです。 口は悪いし乱暴だし、人を泣かすことしかできないいじめっ子とは、格が違ったんです。
 でも、理解されずに、“悪い奴”ってレッテル貼られてこわがられて。今は“フリョー”ってレッテル貼られてるそうです。
 それが悔しくて、悔しくて。何も出来ない自分が悔しくて。疑問ばっかり渦巻いて。でも、自分だってレッテルで人を判断してて。
 “悪い奴”自身はどう思ってるんだろう、って考えたらこうなりました。
 いつかきっと、“良い奴”だとわかってもらえると信じて。わかることができると信じて。